芝濱の落とし噺

芝濱,立川談志,立川談春,赤めだか,太平楽

立川談志と立川談春と古典落語で芝濱

2017年6月。突然落語に魅了される。

仕事柄、車での移動も多く、BGMとして音楽を聞く機会も増える。そんなある日、立川談春の話を聞く機会があった。立川談春。昨今はテレビドラマなどに出演し、俳優業も兼ねているが、「日本一チケットが取れない落語家」として有名な方である。そしてこの立川談春の師匠は、かの立川談志である。

立川談志。お酒に溺れた孤高の落語家。そんなイメージである。その芸は唯一無二で、落語界の異端児として、などという勝手な憶測でイメージを膨らましていた。事実、談志が生きているうちに、その落語をまじまじと耳にする機会はなかった。

そして何気なしに、立川談春、立川談志、そしてその共演。共演という言葉がいいのかは分からないが、その流れで一日聞き入った。その中でも特に魅了されたのは、このテーマである「芝濱」である。その前に、落語である。高座に座布団を敷き、道具といったら、手ぬぐいに扇子。以上である。それに話術のみで身一つで、笑いに変える。ライブ感を生み出す。結構な強心臓と覚悟がないと。あそこには立てない。そう感じる。そんな落語である。余談だが、噺家一人ひとり出囃子が異なっている。いずれは、出囃子で噺家を答えられる。そんな人間になりたい。

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立川談志が魚屋の女房に見える。

芝濱。三遊亭圓朝の三題噺から誕生した。テーマは、「酔っぱらい」「芝浜」「革財布」。魚屋の勝五郎と女房。そして三代目桂三木助が改作し一躍メジャーに。本来は、芝浜の描写を魅せつけるところが一番の見せ場であったらしい。が、筆者が心奪われたのは、立川談志の芝濱。その人情噺。女房の告白するその姿に、談志なのに、談志の姿なのに、談志の声なのに。見たことない魚屋の女房が現れ出た。もらい泣きするんじゃないか?というぐらいの芸を見た。憑依芸っていう言葉で片付けられるものではないが、憑依している。そして、そのあと談春の芝濱を見た。これまたスゴい。談志とは違う。談春が演じる女房が現れた。これまでの人生。落語家に一切興味関心なかったが、これはすごい芸をみた。心震える感動だった。

日本の伝統芸能。古臭いからっていう変な先入観を抱いて、知らないっていうのは損だ。もっともっと貪欲に知らない世界に足を踏み出さないといけない。そしてその世界で、伝承を伝統に変える不屈の挑戦者を我々はこの目で焼きつけていかないといけない。