津屋崎千軒

光の道で知られる宮地嶽神社から車で15分。せっかくこのあたりまで来たので、久しぶりに津屋崎千軒へ

津屋崎町といったら、全国初の「うみがめ課」で知られる町だ(2005年に合併し、現在は福津市)。鳴き砂がある恋の浦ではウミガメの上陸、産卵がみられる。2016年には、5年ぶりに、アオウミガメの産卵が確認されたそうだ。

津屋崎千軒入り口手前に「おさかなセンターうみがめ」があり、その2階に「つやざき漁港食堂 空と海」がある。前々から気になっていたので、まずはそちらへ立ち寄ることに。

 目の前に広がる津屋崎漁港を眺めながらいただく、地魚漬け丼

「つやざき漁港食堂 空と海」は、津屋崎や隣町の漁師さんたちから仕入れる新鮮な地魚が食べられると評判の店。そこで、注文したのが、地魚漬け丼。まずは卵をよけて漬け部分をわさび多めで食べ、ある程度したら、卵を全体にぐちゃっと豪快にまぶしいただく。まろやかな黄身とタレが染み入った地魚が混じり合い・・・。とにかくうまい。見た目以上の味わいだ。

 美味しいご飯の後は、津屋崎千軒をぶらり歩く

このあたり一帯は、江戸時代から昭和初期にかけて盛んだった塩田の積出港として大いに栄えた港町。当時、「人家が千軒あるほど繁栄している」といわれたことから、津屋崎千軒と呼ばれるようになったそうだ。早速、津屋崎千軒の街並みを歩いてみると、通りの向こうに大きな煙突が見えた。大きな煙突といったら、酒蔵である。

豊村酒造は、明治7(1874)年創業。初代が新宮で酒屋を営んでいて、分家して津屋崎の土地に移り、ゼロから酒蔵をはじめたそうだ。

明治時代は、全国的に見てもかなりの量は造っていて、大正末期には第二工場もあった。

中に入ると天井が高く広い空間。左手に直売所がある。

水を加えずに、タンクから直接瓶詰めした「豊盛 原酒」、 山田錦を50%に磨き、芳醇な香り高い「豊盛・大吟醸」、山田錦を60%に磨き、米と水のみで醸した「豊盛 純米酒」など。

また、気になるのが「奈良漬」。家で奈良漬を作ったことがあるのだが、酒蔵で買う奈良漬けほど美味しくはできない。酒粕ならではの独特の香りと、カリカリッとした食感がたまらない。お酒にもご飯にも合う。

 豊村酒造の横にある、これまた趣のある家に立ち寄ってみた。こちらは、津屋崎千軒民俗館「藍の家」

明治34年に建てられた元紺屋(染物屋)で、母屋や井戸屋形(井戸の上に屋根をかけた簡単な建物)は歴史的に価値が高く、大きな梁(はり)や三和土(たたき)の土間、雨戸は表側の3枚があげ戸になっていたり、戸袋が90度回転して収納できたりと、かつての町屋形式が色濃く残っている。2007年には、国の登録有形文化財に指定された。

「藍の家」では作品展やミニコンサートが開催されるなど、地元の人々にとっての憩いの場になっているようだ。

津屋崎千軒の古い建物を活用して、カフェや飲食店などもできている。残念ながら、この日は休みだったのだが、また、近くに来る機会があれば、立ち寄りたい。津屋崎には移住者が多いとも聞く。自分が好きな場所に暮らし、近くに気の置けない仲間がいれば、それだけで日々の暮らしは豊かになる気がしてならない。