うすく濁った乳白色の酒瓶
茶色、緑、青、白、透明。日本酒の瓶の色は、カラフルです。その中で、うすく曇った乳白色の酒瓶を見たことはないでしょうか。例えば、後藤酒造場では「金襴藤娘吟醸生貯蔵酒」に、菊美人酒造では「菊美人大吟醸酒」に、この乳白色の酒瓶を使っています。
これらの酒瓶には、表面のガラスに「フロスト加工」というつや消しの加工が施されています。この加工は、酒瓶以外に、化粧品の容器やガラステーブル・ランプなどのインテリア用品によく見られます。家具の特別感や高級感を出すために用いられるこの加工ですが、日本酒では、主に大吟醸酒や季節限定酒の酒瓶の加工に活用されているようです。
手酌で飲む際に瓶を持ち上げると、通常の瓶よりもさらさらしたなめらかな手触りを感じることができます。おいしいお酒を手に入れると、早く飲みたい!今すぐ飲みたい!とすぐにグラスに注ぎたくなるのが酒好きの性です。けれど、その前に一呼吸置いて、酒瓶やラベルのデザインをゆっくりと眺めてみると、奥深き日本酒の世界の新たな発見があるかもしれません。蔵元さんによると、フロスト加工の瓶を使ったほうが、当然ながらコストがかかるそうです。しかし、お酒が好きな方達には、味だけではなく、瓶の見た目からも特別感や高級感を感じて欲しい。そんな想いから、酒瓶の見た目にもこだわって、真心を込めた一本を造り出しているそうです。
2本並べて違いを楽しんでみても
紹介した2蔵以外にも、若波酒造では、本醸造酒「蒲公英」の季節限定酒「しぼりたて原酒」にフロスト加工を施した瓶を使っています。こちらは緑色の瓶のフロスト加工です。二つの瓶を並べて、違いを見比べてみるのもとても面白いですよ。