此処は大分臼杵。春光園。
その名の通り。春の光を感じ始めた2月下旬訪れた。臼杵といえば味噌に醤油、そして地酒。醸造の町でもある。そして城下町。臼杵城といえば大友宗麟の居城。築城当時、丹生島と呼ばれる孤島上の城郭であり、四方を海画家込み天然の要害となり、堅固な守りを誇っていた。そんな歴史を感じる城下町。石畳を歩く足が歴史を踏みしめている錯覚に陥る。
ふぐを食べる。臼杵のふぐは旨い。
一枚一枚が大きい。ポン酢との絡みもいい。とにかく美味しい。ふぐへの意識が変わった。なお、ふぐの鮮度を示すために、尾ひれを盛っている。この皿上に。このあたりのこだわりも強い。
シーズン最後。白子もうまい。
白子もでかい。そして焼き加減も絶妙である。うまい。それ以外の言葉はいらないようだ。
ひれ酒も。
この写真は春光園のものではない。ひれ酒も美味しかった。ただ、食べる呑むに没頭しすぎて撮影を忘れた。せっかくなので、ひれ酒について紹介するとする。
ふぐのひれ酒。有名であろう。切り落とした鰭(ひれ)を干して乾燥させ、強火で飴色にあぶり、酒器に入れたのち熱燗の酒をそそぐ。酒器は、湯呑みなど大きめの器に、熱くないように竹細工で持ち手を用意するケースが多い。そして、ふたをした状態で提供される。鰭の香味が酒に移るのを待って飲む。蓋を開けた際にアルコールを飛ばすために、マッチなどで火を点じる飲み方が多い。酒の色味は琥珀色に透きとおるものが特徴とされている。かつては、鰭は二級酒を特級酒に変えてくれる。と評されていた。安い酒を美味しく飲む手法として定着していった。昨今、日本酒の品質が向上したものの、まだまだ愛されているお酒である。ひれの残り香がこの醸造技術が長けている臼杵の酒をさらに香り豊かなものとし、臼杵のふぐに伸びる箸は益々活発になっていった。酒をどうやって飲むのか?そこまで考えた上で、ひれ酒用のお酒が独自に進化していっている。これもまた日本人の味へのこだわりがなせる技なのかもしれない。ふぐの状態と酒の状態。暗黙の了解で作られ続けているのであろう。奥深いものだ。