厳選した日本酒と相性の良い料理が味わえる
「大人の隠れ家」
おしゃれな洋服店や雑貨屋が並び、福岡の若者らが集う街、大名に、日本酒と相性の良い海鮮料理を出してくれる居酒屋「博多けいぞう」はある。
入り口が分かりにくい雑居ビルの2階。知らないと、たどり着けそうにもないところに店舗を構える、まさに「大人の隠れ家」。口コミなどで評判が広がり、2016年2月のオープン以来、日本酒好きな人たちが集う場所になった。
店内は10名ほど入ればいっぱいの、こじんまりとした空間。インテリアはアメリカンカジュアルのような雰囲気も漂い、和の日本酒とのギャップが楽しい。最近は若い女性グループが多いとか。確かにちょっとおしゃれな空間だから、女性には入りやすいかもしれない。
日本酒は厳選したものを常時10種類前後、用意。常に新鮮な酒をお客さんに味わってもらいたいから、数を絞っている。値段は一律、一合弱で750円。
佐賀の「東一」(五町田酒造)、「前(さき)」(古伊万里酒造)など地元九州の銘柄から、青森の「陸奥八仙」(八戸酒造)といった東北の酒まで、大将の須崎信夫さんがうまいと思う全国の銘柄を並べる。銘柄はどんどん入れ替わっていくので、いつ来ても、新しい味に出会えて楽しい。
うまい! タコのしゃぶしゃぶ
ほとんどが1000円以下のメニュー
大将おススメの料理は、「タコのしゃぶしゃぶ」(1780円)。生のミズダコを薄く切り、福岡産のネギの千切りとともに食す。出汁はそのまま飲んでもうまい。須崎さんに聞くと、「秘伝の出汁です」とニコリ。カツオベース、とだけ教えてくれた。
その秘伝の出汁に、タコの薄切りを軽くくゆらせて、ポン酢でいただく。プリプリとした食感のあとに、甘みが広がってくる。ネギとの相性も抜群。タコの吸盤の部分がプチプチして、これまたうまい。口に含んだ後、冷酒をクイッといきたくなる。
シメは、そばか雑炊。「そばを食べた後に雑炊をいただくお客さんもいるんですよ」と須崎さん。出汁がうまいから、納得だ。
実は、「タコのしゃぶしゃぶ」が、博多けいぞうでは最も高いメニュー。日本酒に合わせる料理は580円からで、ほとんどが1000円以下とリーズナブルなのだ。新鮮な刺身の三種盛りでも980円で食べられる。
須崎さんは実家が魚屋だったと言うだけあって、「幼いころから魚をいっぱい見てきた」と目利きには自信がある。毎朝、長浜の市場に買い付けに行って、店舗にある日本酒との相性を考えながら、その日のメニューを組み立てる。
「昔、みやま市の実家のすぐ近くに酒蔵がありまして、同級生がいたからよく遊びに行ってました。日本酒も魚も、幼いころから身近にあったものなんです」。須崎さんにとって、「博多けいぞう」は幼いころからの延長線上にあるのだ。
「日本酒に合う料理を提供していますが、メニューになくても、お客さんから『こんな料理できる?』と頼まれれば、できる限り作りますよ」。例えば、アジフライが食べたければ、店に材料があれば作ってくれるという。料理人歴30年で、優しい語り口調が印象的な大将との、自由なやり取りも、店での楽しみの一つなのである。
- 施設名
- 博多けいぞう
- 住所
- 福岡市中央区大名1-8-5
- 電話
- 092-739-7200
- 営業時間
- 17時~24時
- 定休日
- 日曜日
- その他
- 予約可、8名から貸し切り可