日本酒の保存方法

 

日本酒に、一般的に言う「賞味期限」というものは存在しない。

だから、ラベルには賞味期限を記載していない。瓶詰めを行った日、つまり製造年月が書かれている。

日本酒を一升瓶で買ったものの、1日では飲みきれない。お歳暮やお中元で清酒をもらったけれど、すぐに飲むつもりがない。そんな人たちもいるだろう。

では、日本酒は「いつまでおいしく飲めるのか?」「どうやって保存したらいいのか?」。

酒のことなら造っている人たちが一番詳しいはず!

そうだ! 喜多屋7代目の木下宏太郎さんに聞いてみよう。

教えて、こうたろうさん!

日本酒保存の敵は「高温」「光」「空気」

冷蔵庫に入れるべし!

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日本酒は冷蔵庫への保存をおススメします。

日本酒を保存する上で、3つの敵がいます。「温度」が一つ。気温が高い場所に長期間置いていると、熟成が進みすぎて風味が落ちます。

後の敵は「光」と「空気」です。きちんとした酒販店さんは、特別な蛍光灯を使っていたり、店内をわざと暗めにしたり、商品を新聞紙で巻いたりして、光に気をつけています。

冷蔵庫に入れると、温度と光という敵を同時にカットできます。家庭用の冷蔵庫でしたら5度ぐらいなので保存温度として十分ですし、光も遮断できます。

残る敵は、空気です。未開栓でしたら、そのまま冷蔵庫に入れて置けば大丈夫です。火入れ(加熱処理)している日本酒だったら、1年ぐらい入れておいても問題ありません。熟成が進んでおいしくなっていることもあります。

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生酒は早めに

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ただ、生酒の場合は冷蔵庫に入れて、2週間ぐらいで飲んでくださいね、と言っています。お酒の中に酵素が存在していることと、火落菌(ひおちきん)という日本酒に悪影響を及ぼす菌がいる可能性があるからです。酵素、火落菌は5度でも働きます。お酒の味が変化していきます。悪い場合だと「火落ち」と言って、酒が白濁して、酸っぱくなります。そうなると、腐っているわけではありませんが、飲む気になりません。

喜多屋の場合、生酒はマイナス5度で保管しています。この温度だと酵素も、火落菌も働きません。ただ一般家庭では難しいですよね。

生酒を長期熟成させる楽しみ方もあります。ただ、それは自己責任で、としか言えません。実際に、おいしく変化することもありますから。「通」の領域ですね。蔵の立場からすると、生酒は傷んでしまう可能性もあるので、早めに飲むことをおススメします。

開栓した日本酒はどう保存すればいいのか?

開栓したら冷蔵庫に保存していても、1週間ぐらいで飲みきってほしいです。例えば、瓶の半分ぐらい飲んで、瓶の中に空気がいっぱい入ると、特に吟醸系のお酒は風味が落ちてきます。腐らないですけど、清酒は空気に接することによる酸化で味が落ちるんです。

一升瓶の酒を小瓶に小分けするのがおススメ

ちなみに、日本酒は一升瓶で購入した方がお得です。でも、1日で飲みきれないだろうし、一升瓶は家庭用の冷蔵庫には入らないですよね。

そこで、おススメの方法があります。

四合瓶や300ml、180mlの小瓶を用意しておいて、一升瓶から移し替えたらいいのです。できるだけ空気が入らないように、小さな瓶の中にいっぱい酒を入れて、冷蔵庫に保存したら大丈夫です。用意する小瓶は、事前にきれいに洗って、よく乾かしておいて下さいね。私の家は、空瓶がいっぱい納戸に置いてありまして、一升瓶から詰め替えています。

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木下宏太郎(きのした・こうたろう)さん

江戸時代から続く喜多屋の7代目。東京大学農学部卒業後、宝酒造をへて、1992年(平成4年)に喜多屋入社。94年まで国税庁醸造試験場で2年3ヶ月の研修を受ける。99年10月、喜多屋の代表取締役に就任。酒質向上に努めるとともに、積極的に海外に展開。「大吟醸 極醸 喜多屋」はロンドンで開催されたIWC(インターナショナル・ワイン・チャレンジ)2013の日本酒部門でナンバーワンの「チャンピオン・サケ」を受賞した。