福岡の酒米・夢一献

福岡生まれの酒米、「夢一献(ゆめいっこん)」

福岡の酒蔵では、蔵のある地域の農家さんと連携して、地元産の酒米を使う傾向が増えつつあるように思う。もちろん全量は難しい場合は、銘柄を絞ってになるのだが。

「地元の水には、地元の米が合う」と蔵元はいう。確かに、その味や香りのわずかな違いは、まだわからないのだが、その言葉には説得力があり、また、福岡県人としてはそういうお酒をぜひ飲みたいと思ってしまう。

福岡県は西日本有数の米の生産地だ。板付遺跡から炭化した籾が発見されて以来、太古の昔から米どころであったそうだ。参考までに、福岡県の平成28年産の酒米出荷契約数量は、山田錦1020トン、夢一献700トン、吟のさと145トン、壽限無65トンとなっている。

夢一献は、福岡のブランド米「夢つくし」を親に持ち、草丈が短く倒れにくい

福岡県が酒米の新品種である夢一献を開発したのは、平成15年のこと。夢一献は、福岡県産米の夢つくしを親に持つ、正真正銘の福岡生まれの福岡育ちの酒米だ。福岡県では山田錦が多く栽培されているのだが、なにせ、草丈が長いため栽培しにくいという。山田錦の草丈は120センチほど。それに比べ、夢一献は90センチほど。夢一献は、草丈が短く山田錦に比べ、台風などの影響を受けにくく、安定した収穫量が確保できるので、農家にとっては栽培しやすいとのこと。夢一献は久留米地域の中でも、酒蔵の多い三潴(みづま)地区で栽培が盛んに行われている。蔵元からは溶かしても味が重たくなりにくいとの声も聞こえる。

「吟のさと」は、筑後地方の気候や土壌に合わせて開発された品種で山田錦を親に持つ。「壽限無」は山田錦と夢一献を掛けあわせて生まれた品種

夢一献を使った日本酒は、「菊美人酒造」の菊美人・特別純米酒や春の純米酒、「旭松酒造」の純米酒、「旭菊酒造」の生酛純米、若波酒造の蜻蛉・特別純米酒など数多くある。同じ造りでも米の種類によってどれほど味わいが異なるのか。じっくりと飲んでみたい。