衝撃を受けた白扇酒造の本みりん
福岡から遠く離れ、岐阜県にある白扇酒造の本みりんに出会ったのは、15年以上前。仕事関係でいただいたのだが、その本みりんの味わいに衝撃を受けたのを今でも覚えている。みりんというより熟成された深い甘みを持つお酒のような味わい。それもそのはず、昔、みりんは、甘いお酒として重宝されていたそうだ。本みりんのアルコール度数は14パーセント程度。原料は、もち米、米麹、焼酎だそうだ。ちなみに、この本みりん、料理に何度か使ったものの、もったいなくてちびちびロックで飲ませていただいた。そのまま飲むにはちょっと甘すぎるかもしれないが。
喜多屋の酒みりんは、1本でお酒とみりんの二役。お酒の風味豊かで素材の味を引き立てる
母から直々に習った煮物は、お魚だろうとお野菜だろうと、調味料は、醤油、砂糖、みりん、日本酒でややこってりめ。もちろん調味料は計量することなく、目分量だ。醤油は地元糸島の醤油蔵のもので、砂糖はたいていキビ砂糖。みりんと日本酒は、料理用のもので近くのスーパーで手に入れたもの。
たまたま、仕事でいただいた喜多屋の酒みりん。お塩は好きで各地で買って帰ってはお気に入りを見つけるのだが、みりんに対してのこだわりはさほどない。正直、みりんの香りや味の違いなど、近年気にしたことがなかった。
せっかくいただいた喜多屋の酒みりん。まずは、その香りを嗅いでみると、芳醇なお酒の香りがふわっと漂う。普段使いのみりんとは、何かが違う。そう思い、普段使いのみりんと味比べしてみた。喜多屋のみりんはお酒感が強く、芳醇。それに比べ、いつものみりんは薄っぺらさと単なる甘いだけ感を感じたものだ。喜多屋酒みりんは加塩純米醸造酒が原料。清酒本来の純米製造方法を元にした加塩製造により、有機酸と米麹由来の旨み成分が芳醇な香りと濃厚な風味を生み出し、素材の味を引き立てるのだとか。加えて、醸造アルコールを全く使用していない無添加商品。酒みりんという名の通り、単なるみりんとしてではなく、1本でみりんとお酒の2重の効果が望める。まさに、酒蔵が清酒作りを活かした純米作りの発酵調味料。早速、煮物を作ってみた。確かにいつもと味が違う。いつもも十分美味しいのだが、より美味しくなった気がするのである。
この喜多屋の酒みりん、ぜひ試してみてほしいものだ。