旭菊 大地特別純米 

旭菊酒造「大地  特別純米」。無農薬山田錦で醸した、香り味わいともに深みがあって力強い酒

酒どころ城島にある旭菊酒造。旭菊酒造の杜氏である原田さんのことを、福岡県中央区にある入江酒店の入江さんは「宇宙人」だと表現していた。きっと、原田さんや入江さんから見る日本酒の世界観は、私の想像を超えるとても豊かで大きなものなのだろうと思う。いつか、そんな世界を私も見てみたいものだ。旭菊酒造の記事はこちら。入江酒店の記事はこちら

旭菊酒造が平成5年から無農薬山田錦を使い醸しているのが、「大地」だ。「大地 純米吟醸」は、精米歩合50%、7号系酵母使用。日本酒度+5、酸度1.6。「大地 純米」は、精米歩合60%、7号系酵母使用。日本酒度+5、酸度1.6。酒米生産者の名前まで記してある。

無農薬米は扱いにくくて、まるでじゃじゃ馬。飲んでみると深みのある味わいというか、米の力強さを感じる

ただでさえ栽培するのが難しい山田錦を、しかも無農薬でつくるのだから、米農家の気合は並大抵のものではないと容易に想像できる。自然の恵みとそれを活かす人の手によってできた山田錦で醸す酒は、フタを開けた瞬間、ふわっと香りが広がった。常温でいただいてみたのだが、米の味わいというか力強さの中にも穏やかさが感じられた。

「造りはじめたきっかけは、福岡の酒屋さんたちが無農薬で造った米で酒を造ろうということで、酒屋さんと農家がタッグを組み、どこで造るかという時に、うちの名前が出てきたようです。

同じ糸島の山田錦でも、通常のものと無農薬とでは違います。無農薬は扱いにくいというか。造りにくくて、じゃじゃ馬ですね。他の米は素直というか、だんだん傾向が掴めてくるんですが、無農薬はその日によって機嫌がコロコロ変わるような。

しかし、飲んでみると香りというか味わいが違いますね。何というか味があるないではなく、深みのある味わいというか。米の力というか。そんなものを感じますね」と旭菊酒造の後継者である原田頼和さん。

また、入江酒店の入江政行さん曰く「『大地』は、7号酵母なので香りに優しさがありますし、味は飲み飽きない膨らみのある味。純米吟醸と純米酒があるんですが、香りの差はそこまで大差はない、純米吟醸のほうが味わい的にきれいですね」とのことだ。

この酒を育んだ自然を見つめ直したい

ラベルには、力強く「大地」の文字が書かれているのだが、その裏にはこの酒に対する想いが書かれていた。

一、福岡県産山田錦をできるだけ自然にやさしい方法で作る。

一、技を極めた杜氏が米と米麹と水だけで造る。

一、同じ情熱を持った者でのみ販売する。この酒を育んだ自然を見つめ直したい。

外は台風の真っただ中。自然の脅威を感じながら、「大地」を口に含む。いつもお世話になっている糸島にある海が見渡せる美容室の店主から「畑をしていると、大地を踏みしめていると、地球とつながっている、自分は地球の一部であると感じるんだよ」という話を聞いた時、この店主は畑をすることでそんなところにまで行き付くのかと驚いたのを覚えている。この「大地」を飲んで、何に思いを馳せ行き付くことができるのか。人それぞれだが、たまにはそんな壮大なテーマを思い描いて、日本酒を飲んでみるのもいいかもしれない。

 

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