喜多屋

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酒造りはサイエンス、
世界チャンピオンに輝いた喜多屋

九州の穀倉地帯である、筑紫平野南部に位置する福岡県八女市。全国的に有名な「八女茶」の栽培や雛人形などの伝統工芸品で知られる街に、喜多屋はある。

江戸時代末期の文政年間に創業。「酒を通して多くの喜びを伝えたい」という志から、屋号を喜多屋としたという。

喜多屋を訪れると、日本最大級の大杉玉が迎えてくれた。蔵の第一印象は、古さと新しさが同居している場所。白壁の古いたたずまいを残しつつも、酒造りの現場には積極的に近代的な設備を導入している。

喜多屋

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1年を通して真夏以外は酒造りができる設備。「喜多屋には気候が変わろうが関係なく、狙ったとおりの酒を造れる環境と技術力があります。そうでないと、チャンピオンは取れません」と、木下宏太郎社長は胸を張る。

2013年、ロンドンで開催された世界最大規模の酒の競技会「インターナショナル・ワイン・チャレンジ(IWC)」日本酒部門で、「大吟醸 極醸 喜多屋」が世界一となる「チャンピオン・サケ」に輝いた。福岡の酒蔵では、初の快挙だった。

チャンピオンを取った喜多屋の酒造りとはどういうものか? 「酒造りはサイエンスなんです」。木下社長は東京大学農学部で学んだだけあって、科学的な理論を重んじる。「微生物は正しい反応しかしない」とデータ管理を徹底しながら、酒造りをしている。

「感性だけで酒造りをしていたら危ういんです。人は体調が変わるし、人によって感じ方が違うから」。でも、「サイエンスだけでは人を唸らせる酒はできない」とも言う。それは、酒は嗜好品で、人によって好みは違うからだ。「人を感動させる酒を造るには、情熱や誇り、ほとばしる酒への思いがなければならない」。だから、科学的な理論を理解した上での「感性」も大切にしているという。

データや理論を蓄積した上で、原料米を触ったときの感触はどうか、香りはどうか、目で見てどう感じるかなど、蔵人の五感も重要視する。「酒の世界は利き酒に始まり、利き酒に終わる。まずは、舌で感じることから始まります。その前提として科学的なデータがあるわけです」

徹底したデータ管理に技術の共有、そして感性の共有。「われわれのチームは、ある程度のレベルまで来た」と木下社長は感じている。そのことを実感したのが、「チャンピオン・サケ」の受賞。「芳醇さと透明感を秘めた酒」と評価された「大吟醸 極醸 喜多屋」は、歴代蔵元が目指してきた「芳醇爽快」という理想の日本酒だったのだ。

喜多屋の蔵人は、20代から30代前半の若手が多い。ただ、年間150以上の仕込みをやっているだけに、若くても経験値は驚くほど高い。「まだまだ若いチームなので、もっと伸びしろはある。もっと、もっと良くなるはず。少なくとも、チャンピオンを取ったわけですから」

取材日、蔵では若手が、酒の仕込みを黙々とこなしていた。若いから、体力も充実している。その上、科学的な理論もたたき込まれ、相当な場数も踏んでいる。さらに、「チャンピオンを取ったことで、酒造りに対するモチベーションも、責任感も高まっている」(木下社長)

喜多屋

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ひたむきに、酒造りに情熱を傾ける喜多屋の蔵人集団を見て、再び「チャンピオン・サケ」の称号を獲得する日本酒が出てきそうな気がしてきた。次の世界一の酒を味わう日が、楽しみである。

喜多屋

施設名
喜多屋
住所
福岡県八女市本町374番地
電話
0943-23-2154
URL
http://www.kitaya.co.jp
その他
代表的な「喜多屋」ラベルは、純米酒や大吟醸酒といった、さまざまな種類の酒をラインナップ。 「寒山水」のほか、IWC2014本醸造の部で「福岡トロフィー」を受賞した本醸造「蒼田」など、多くの銘柄を用意している。麦焼酎「是空」など、本格焼酎も製造している。