藤娘 後藤酒造場

老舗の酒蔵、後藤酒造場の藤娘。どっしり濃厚。本醸造は肉と合わせると味わいが増す。

福岡県八女市黒木町にある後藤酒造場は、1677年に創業した老舗の酒蔵だ。場所は国指定天然記念物の「黒木大藤」のすぐ隣にある。

後藤酒造場は、昔ながらの手法で甘口、辛口とさまざまな飲みくちの酒を造り続ける。原料の酒米は手洗いし、麹も「手麹」。酒を搾るのは、昔ながらの「はね木」だ。てこの原理を応用した搾り方で、機械のように圧力は強くないので、雑味の少ない酒ができる。

「藤娘」と聞いたら、坂東玉三郎が艶やかに演じる藤の精を思い浮かべる人もいるかと思うが、後藤酒造場の代表銘柄に「藤娘」がある。「金襴藤娘 本醸造 特撰」は、精米歩合55%でアルコール度数15度以上15.9度未満。昔ながらのどっしりとした濃厚さを持ち、飲み応えがある。特に、肉料理と合わせて飲むのがおすすめだとか。お肉と合わせて飲むと、相乗効果で酒も肉もさらに味わいが増したように感じられる。食べるものによっても味わいが変化していくのが、日本酒のおもしろさというか素晴らしさであると、最近つくづく思う。

「金襴藤娘 大吟醸」は、山田錦を38%まで磨き醸した。アルコール度数は、17度以上17.9度未満。芳醇な香りと、しっかりとしたうま味併せ持つ。つめたく冷やして、お刺身やあっさりとした肴とともに飲みたい。食事と一緒に飲むのもいいが、大吟醸は華やかな香りを楽しみたいので、リラックスできる音楽を聴きながら、肴なしで純粋にお酒を楽しむのもいい。

4月21日(土)~5月6日(日)「大藤まつり」を開催

後藤酒造場のある黒木町では、素盞嗚(すさのお)神社周辺で「大藤まつり」が開催される。まつりの開催を前に、4月18日には、藤の花神酒召せの式典が行われた。藤の花神酒召せの式典は、藤の花の大願城成就を讃えるため、藤の根元にお神酒を注ぐ神事で、戦火や大火の時に損傷を受けた藤に酒粕を根元に与えたところ樹が回復したという故事にちなんで行われているそうだ。

開催中、物産展をはじめ、八女茶の接待、展示会、ライトアップなど様々なイベントが開催される。詳細はこちら

「大藤まつり」期間中、後藤酒造場と旭松酒造では蔵開きが行われる

旭松酒造も福岡県八女市黒木町にある酒蔵。柔らかい水質の地下水で造る酒は、さらりとした飲み口。また、米はセイロで蒸すため、米が溶けにくく雑味が出にくい。酒を搾るのは、昭和9年製の油圧式圧搾機だ。酒の種類によって力の入れ具合を調整する。「藤娘」「旭松」ともに、恵比寿酒店でも取り扱い中。

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大藤を愛でたついでに酒蔵へ、酒蔵で飲んだついでに大藤を愛でに。どちらにしても豊かな時間が待ちわびている。

  • 後藤酒造場/福岡県八女市黒木町黒木26/0943ー42-0011
  • 旭松酒造/福岡県八女市黒木町黒木36/0943-42-0003/http://www.asahimatsusyuzou.co.jp/index.html
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