喜多屋、飲み比べ

 酒米の個性

美味なるお酒を手に入れた。先日打ち合わせに行った喜多屋で、「喜多屋さんを知るためのお酒はどれですか?」と尋ねたところ、手渡されたのがこの4本。違いは、酒米にあり。言わずと知れた「山田錦」、福岡県オリジナル酒米「夢一献」、筑後で開発された酒造好適米「吟のさと」と、それぞれの酒には、酒米の個性が色濃く出ているという。その違いを味わってみたいと、飲み比べにチャレンジしてみた。

旬の食材とともに

せっかく美味しいお酒を飲むのなら、美味なる食とともにいただきたい。ということで、今が旬のタケノコを、先日知人からいただいた熊本県球磨川産の天日干し青のりと一緒に天ぷらに。

スナックエンドウとコブ高菜のお花は、軽く塩で茹でる。「お肉とお魚、それぞれ一緒に味わってみて」と薦められたお酒用にと、地元の糸島牛と炙り鯖鮨を用意した。日本酒ならではの芳醇な香りに包まれ、さっそく飲み比べをはじめてみた。

 

山田錦使用 純米吟醸 蒼田

山田錦を55%に磨いて仕込み、低温でじっくりと発酵。

ふわっとした香りが心地よく、やや辛口でフルーティー。スッと口の中に入り、後口爽やか。飲みやすいので、ついつい飲みすぎに注意。魚料理との相性抜群ということで、鯖鮨を口にほおばり、もうひと口。納得!鯖鮨の味わいをより一層引き立ててくれた。

 

山田錦使用 特別純米酒 蒼田 山廃仕込

山田錦を60%に磨き、山廃酵母から醪(もろみ)まで約2カ月ちかく低温でじっくり発酵。

飲んだ瞬間に、他の3本と明らかに異なる味わいで、野性味を感じた。一番甘みがあるものの、独特な味わいで飲み応えがある。お肉と一緒に口に含んでみる。肉に負けない個性というか強さを感じた。

 

吟のさと使用 純米吟醸 喜多屋 

吟のさとは、地元八女の契約農家と自社田で栽培。精米歩合は59%。

 

夢一献使用 特別純米酒 喜多屋

夢一献を60%に磨き、じっくりと低温で発酵させた特別純米酒。

2本とも、やや辛口と言っても飲みやすく、フルーティーでスキッと爽快な後口。言葉では表現しにくいのだが、明らかに味の違いがわかる。夢一献使用 特別純米酒 喜多屋のほうが濃厚で、より酸味というか辛さを感じた。

 

料理を確実に引き立ててくれる

4本に共通していることは、日本酒は料理を確実に引き立ててくれるということ。原料は、米と米麹とシンプルでありながら、その香りや味わいは無限大だ。「ライバルは、他の蔵ではなく昨年の喜多屋」と話していた杜氏の言葉が印象的だが、どこの蔵元もオンリーワンの酒を造り続けるため、常連さんに愛され続けるため、日本酒好きを増やすため、酒を醸し続ける。福岡の米で醸した福岡の地酒は、私たちの食をより一層豊かにしてくれる。これから、私は、どんなお酒と、そしてお酒を醸す人と出逢うのか、とても楽しみだ。