菊美人酒造

北原白秋ゆかりの文学の香りがする酒蔵

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柳川が生んだ日本を代表する詩人、北原白秋は日本酒「菊美人」を呑み、気分が乗ってくると、詩歌を筆ですらすらと書いたという。江戸時代の1735年に創業した菊美人酒造(福岡県みやま市瀬高町)には、白秋直筆の書や詩歌などが数多く残る。文学の香りがする酒蔵だ。

白秋の実姉が嫁いだ菊美人

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「菊美人」のラベルの文字は、白秋が書いたものである。蔵には、3つの「菊美人」の墨書が残っている。白秋の実の姉、加代さんが菊美人酒造の先々代の社長、江崎喜三郎氏の妻。「加代おばあちゃんが亡くなったのが93歳。私が中学生のころまでは、一緒に暮らしていました」と、蔵元の江崎俊介さん(福岡県酒造組合会長)は懐かしむ。

白秋マニア垂涎の作品が残る

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白秋の実家、北原家も、かつては福岡屈指の大きな酒蔵だった。ただ大火で蔵が焼失。東京に出た白秋が困難だった時代、菊美人酒造が支えた。だから、福岡に帰郷した際は、姉のいる江崎家に泊まり、酒を呑んでは、さまざまな作品を残した。「白秋の直筆の作品はたぶん、日本で一番、うちに残っているんじゃないですかね」と俊介さん。蔵開きの時には、一般の人たちにも公開しているという。

すらりとした筆文字と対照的

どっりした味わいの日本酒、菊美人

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「菊美人」の細めの筆文字は、なで肩で、すらりとした女性らしさをイメージさせる。対照的に、日本酒はしっかり、どっしりした味わいだ。俊介さんは「柳川にも、有明海にも近い酒蔵ですから、ウナギの蒲焼きのような味の濃い料理、郷土の甘いしょう油にも合うお酒を造っています。淡麗なものは、この地域には合わないと思うんです。農業や漁業で汗をかいて、一日の終わりに飲む酒は、しっかりとうま味のある酒。私はそういう考えなんです」と力を込める。

80歳のベテラン杜氏

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酒造りを取り仕切る80歳の「柳川杜氏」、待鳥敬記さんも、同じことを語る。「競技会で賞を狙うための酒造りはしたくない。地元の人たちが『うまいね』と言ってくれる酒を造っている。それは、しっかりした味のある酒なんよ」

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地元とつくった特別純米酒「つやおとめ」

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俊介さんは「地元で愛されないと、小さな蔵はやっていけない」と言って、「つやおとめ」という銘柄を紹介してくれた。地元みやま市で、低農薬、低化学肥料で特別栽培された米、つやおとめを100%使った特別純米酒。「本当に、乙女みたいに小さくて、酒にするには、とっても手間がかかる米なんですが、挑戦しました。これからは、地元の人が、地元のお米で、地元の水を使ってお酒を造るような時代になってくると思いますから」

北原白秋ゆかりの文学の香りがする蔵は、これからも地元に寄り添いながら、しっかりした味の日本酒を売っていく。

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菊美人酒造

http://kikubijin.co.jp/

住所:福岡県みやま市瀬高町上庄183

電話:0944ー62ー3001

代表銘柄の「菊美人」は大吟醸、純米吟醸、特別純米などさまざまなタイプがある。辛口が好みの人には「九州男児」。鮮烈な辛さとのどごしで、飽きのこない酒である。

4月8日は、

菊美人酒造も参加する酒文化博!

 第3回筑後七国酒文化博

4月8日(土曜日)12時~18時、九州新幹線筑後船小屋駅横の九州芸文館で開催。参加蔵は日本酒蔵の後藤酒造場、旭松酒造、高橋商店、喜多屋、若波酒造、菊美人酒造、玉水酒造、目野酒造と焼酎蔵の西吉田酒造の計9蔵。1蔵3~5銘柄の酒が1杯100円~300円で味わえる。地元食材のおつまみも販売している。前売りチケットは1000円(1100円分)、当日チケットは1000円。問い合わせは、九州芸文館(0942-52-6435)へ。

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