坂東玉三郎×鼓童

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9月2日から18日(月・祝)、博多座で坂東玉三郎さんと太鼓芸能集団・鼓童による『幽玄』が上映される。玉三郎さんと鼓童は、2000年に出会い、17年に及ぶ創作活動を積み重ね、2006年の『アマテラス』以来となる待望の共演が実現した。今回は、『幽玄』をテーマに世阿弥が見た幽玄の世界を能の代表演目を題材に表現する。

左から、鼓童 大塚勇渡さん、鼓童 船橋裕一郎さん、坂東玉三郎さん、鼓童 石塚充さん

一幕「羽衣(はごろも)」:能楽囃子の小鼓・大鼓・太鼓を鼓童の締太鼓で表現し、玉三郎と花柳流舞踊家達が舞う/二幕「道成寺(どうじょうじ)」:一幕からの構成がさらに展開し、白拍子が大蛇に化身し恋の妄執を描く/二幕「石橋(しゃっきょう)」:5体の獅子が鼓童のリズムと共に勇壮に舞い納める

お客様が自由に空間を飛んでいける時間を作るのが私どもの務め―坂東玉三郎さん 

鼓童との共演ということで、和太鼓と言っても世界中に、かなり多くのグループや団体がありますが、他で組み入れなかったものを学んで、それを表現することで違う境地が拓けるのではないかと思い、今回、『幽玄』という作品に挑戦することになりました。

能の代表演目を題材にしているのですが、゛幽玄“を言葉にするのは大変難しいと感じております。観てくださったお客様が自由に感じていただき、その空間や時間を自由に遊んでいただく。お客様が自由に空間を飛んでいける時間を作るのが、私どもの務めだと思っております。劇場の空気感や全体の音、雰囲気を楽しんでいただくのがなにより一番です。

舞台というものを長年やっていくには、幅が無いといけないと思うのです。ステージで太鼓を見て頂くということにおいて、お客様に楽しんで頂くものとしてどうあるべきか。歌舞伎も江戸時代にいろいろなものから学び、いろいろと改良されながら、お客様の目で楽しめるようになりました。太鼓もそういう風に衣裳を変え、動きが付くことによって、舞台の中でどういう風に大きな構成とうねりができるか。それによって、同じ太鼓でも、違ったものに聞こえるものです。

前回のアマテラスという神話に近い世界から、今回は、江戸時代から親しまれ、高尚さも併せ持つ能楽という日本の囃子というか音楽がテーマ。みなさんがわかりやすいように様式だけは頂き、楽しんで頂ける演奏にしました。舞台の芸能というものすべてがそういうものを望んでいるのかもしれませんが、劇場の外にまで飛んでいける時間と空間を作るということを、大事にしています。

太鼓をたたくということをお見せするだけではなくて、たたいているのを見て聞いているうちに、違う世界にまで飛んでいける音楽を作らなければならないということを、鼓童に言い続けてまいりました。舞台に上がる上で、みんな心の中で基準はありますが、回を重ねるごとにちょっとずつずれていきます。それがなければ、芸能ではありません。これでいい、これさえやっておけば間違いないというものは、一生涯ないのです。

能の世界というと少し固めな感じがありますけれども、中身を見て頂ければ大変楽しいものだと思いますので、みなさまどうぞお越し下さい。

アマテラスと全く違った新しい唯一無二のジャンルに―鼓童代表 船橋裕一郎さん

私たち鼓童が、玉三郎さんにお世話になりまして、17年が経ちます。共演というのは我々の悲願でありまして、アマテラスに続いて2作目となりました。1作目を超える2作目はどういったものになるのか、自分たちでも作りながら、楽しみながら苦しみながらやってまいりました。『アマテラス』と全く違った新しい唯一無二のジャンル、作品になったと思います。

幽玄というテーマは難しく、稽古場では、玉三郎さんに高いハードルをいただきまして、大変な思いをしながらやってきました。常に「お客様がどう感じるか」「お客様が楽しめる舞台になるか」ということをお話しされていましたが、つい太鼓の特性上、自分たちにとって気持ちがよく、また自分たちが出したい音を出してしまいます。玉三郎さんからは「お客様が気持ちのよくなる音、リズムを出していきましょう」ということを、課題として出していただきました。それを克服していくことによって、太鼓の新しい領域に入っていけたと思います。

自分ではないものに突き動かされていく感覚に出会えた―鼓童 石塚充さん

今回は、具体的にストーリーを表している舞台ではありません。鼓童の舞台で扱ってきた音楽だとか、芸能などは、すごく人間の汗とか息を感じるような、人が生活の中で培ってきたような民族芸能ですとか、民族音楽を題材にしてきました。しかし、今回の題材である能楽は、ストーリーがありつつも、人間という心をあまり感じないというか、人間であることを超越しているという、自分というものを排除してそこで演じているという感じを受けました。

今回、舞台をやらせていただくことによって、だんだん自分ではないものに突き動かされていく感覚に少し出会えるようになった感覚があります。ストーリー云々ではなく、いつもの鼓童とは違うというところを、お客様に感じていただければと思います。

お客様に幽玄を一瞬でも感じて頂きたい―鼓童 大塚勇渡さん

私はメンバーとなって2年目の若手なのですが、『幽玄』というタイトルを聞いた時に、゛幽玄“というものを自分の中で消化するのがすごく難しかったのですが、世阿弥が゛幽玄”という考え方をすごく大切にしていることがわかりました。それを具体的に舞台でどう表現していくのか、私達若手の中でも疑問としてありました。5月の初演を迎える前に、玉三郎さんから「『幽玄』を演じるというよりかは、お客様に゛幽玄”を一瞬でも感じて頂けることが、今回の『幽玄』につながるのではないか」というお話を受けました。能の様式美といいますか、謡であったり、太鼓の演奏であったり、舞であったり、私たちがその真髄を勉強することで、『幽玄』とつながってきたのではないか思っております。

施設名
博多座
住所
福岡市博多区下川端町2-1
電話
092-263-5555(予約センター)
URL
http://www.hakataza.co.jp/