山口岩国 獺祭へ

まずは寄り道、錦帯橋へ。錦帯橋は、日本三名橋のひとつ

岩国といったら、海上自衛隊基地、錦帯橋ぐらいしか思いつかないのだが、せっかくなので、獺祭の工場見学へ行く前に、紅葉が見られるかもとの淡い期待を持ちつつ、錦帯橋へ立ち寄った。

錦帯橋は、1673年、岩国藩主吉川広嘉によって創建された。5つの木造の橋が連なる構造で、中央の3連は、迫持式(せりもちしき)といわれるアーチ構造。この橋の構造は独創的で、世界的にみても稀だとか。また、その技術は、現代においても高く評価されているそうだ。

錦帯橋がかかる錦川は、台風や雨期になると想像を超える氾濫の川で、「流されない橋を造りたい」という先人たちの強い想いが、このカタチを生み出したのだ。

錦川では、鮎の産卵も

錦帯橋の近くでは、釣り人の姿が。「何が釣れているのですか?」と尋ねたところ、「鮎」との答えが。

鮎釣りはそろそろ終わりで、産卵の時期に入るという。産卵している場所があるとのことで、見せていただいた。川底の浅い岩場に、卵を産んでいた。

鮎釣りに何度か誘われたのだが、タイミングが合わず、実現していない。ぜひ、来年は行きたいものだ。

いざ、獺祭の工場見学へ

錦帯橋から、車を走らせること約40分。のどかな田園風景が広がるなか、獺祭の大きな本社蔵が見えた。

獺祭の本社蔵は、12階建て。本社蔵の川を挟んで向かい側に、獺祭ストアがある。設計は、2020年に行われる東京オリンピックのメインスタジアムとなる新国立競技場の設計者である隈研吾氏。お酒を買い求めに、ひっきりなしに人が訪れていた。それにしても、オシャレな空間だ。特に、ここだけの限定酒などはないとのこと。

獺祭ストアに集合し、11時から蔵見学がスタートした。蔵見学は、ネットか電話で申し込みができる。本社蔵の2階で簡単な説明を受けてから、各階の現場へ。

精米工場で磨いたお米を車で運んで、本社蔵で仕込むのだが、まず、10階でお米を洗う。

洗米した米は、同じ階にある釜のフロアで、翌日に蒸す。強い蒸気をあてて米を蒸す。15メートルほどの連続蒸米機では、2000キロの米を45分で蒸し上げる。

製麹(せいきく)の作業は、見学できず。4階と6階で行われているとのこと。1日に2300キロの麹を造るそうだ。この作業は、後程、映像で見せていただいた。

仕込や発酵は、7、8、9階で。5度に設定されている。蒸米、麹、水を3回に分けて仕込む。1タンクは、1升瓶で約1000本の量。お米が12時ごろホースで降りて来て。20時まで、人の手で混ぜる。

1回目の仕込みは、お湯をいれて温度をあげて、酵母を活性化させる。3回目は、180キロの氷を入れて温度を低くする。米のデンプンが麹の酵素によって糖に分解され(糖化)、糖は酵母によりアルコールになる。同時に発酵するので、並行複発酵という。氷を入れて仕込むのは、はじめて見た。

3度目の仕込みの次の日が、こちら。

7日目ぐらいのもの。米が溶けて水分が出てる。7日と9日に20リットルの水を入れる。

プクプクするのは、酵母がアルコールを造る時に二酸化炭素を発生するためだそう。

全てのタンクに温度計がある。朝と夕方に温度を確認するそうだ。朝一で混ぜてサンプルを取り、2階で、米の溶け具合、アミノ酸酸度、アルコールなど数値化する。1日に2度、数値と温度を見て、タンクごとに冷やしたり、温めたりと操作を行うそうだ。

仕込みが終わり、36日発酵させた後、搾る。圧搾機だけではなく、雑味を外に追いやって、内側から搾る遠心分離機も使用するとのこと。

造る量が多いので、獺祭では、全工程が洗米は洗米、発酵は発酵と部署ごとに分かれている。しっかりできる人と新人のふたりで組み、ある程度できるようになったら、ひとりでやる場合もあるそうだ。平均年齢は、26、7歳。製造に携わるのは、150人ちかくとのことだった。ちなみに、12階には会長の自宅があった。

工場見学が終わったら、獺祭ストアに戻って有料試飲を。試飲は、純米大吟醸 磨き二割三分、三割九分、50など4種類。車のため、試飲は断念。お土産に2本お酒を買って帰った。

山口県の山奥に蔵を構える獺祭は、かつてはいつ潰れてもおかしくない状況だったそうだ。そんな酒蔵が、新しい独自の酒蔵スタイルを生み出し、日本酒業界に新たな旋風と多くの日本酒ファンを生み出した。いつも思う。その差は、いったい何であるのか。

工場見学者には、ライスミルクが1本お土産にいただける。ライスミルクは、獺祭の磨いた山田錦の米粉と水のみで作ったドリンク。ほんのりと甘くお米の味わいがしっかりして、舌触りもほんの少しだけざらりとした感じのある、やさしい味わいのライスミルクを飲みながら、福岡へ戻る。2泊3日の山口旅は、純粋にその土地を人を暮らしを大切に真摯に生きる人たちの想いにたくさん触れ、何だか胸がいっぱいになった。