まずは、いのしし狩りへ
鍋の季節到来だ。福岡県糸島市に暮らす師匠は、昨年糸島で200匹以上のいのししを捕獲した。師匠のおかげで、昨年何度となく、いのしし肉にありつけた。ありがたいことである。
10月15日、いのししの箱猟が解禁となった。猟の期間は、4月15日まで。銃でのいのしし猟は、11月1日からはじまる。
師匠が猟をはじめたのは、6,7年前のこと。畑にいのししが現れ、荒らしまくるという。畑の農作物を食べるだけではなく、掘り繰り返して荒らすのだ。家の裏や近隣にも出るので困っていたという。ならば、自分で駆除しようと、害獣駆除の目的で箱猟をはじめた。狩猟免許が必要なので免許を取得。しかるべき手続きを行わないと猟はできない。
箱罠は15カ所ほど。週に2日ほど、見回りに行く。
稲刈りも終盤戦。掛け干しされた稲の姿もちらほら。
けっこうなガタガタ山道をのぼり、箱罠の近くでトラックを降りると、エサの準備。米、米ぬか、さつまいも。エサは、人によって異なるそうだ。「エサは、僕の師匠のいいとこどり」。
箱罠にいのししが掛かっていなくても、エサを追加。罠の中に入るように、エサで導く。「今年は、いのししがいる気配がしないね。どんぐりは豊富にあるから、食糧に困っていないのかな」と師匠。
別の場所で、栗の実が落ちていたのだが、いのししが食べた残骸が。皮をキレイに剥いて食べている。足跡もある。
箱罠は、原木椎茸の近く、養蜂の近く、綿の畑の近くとさまざま。
藍染めの藍の花や、綿の花も。
7、8カ所目、カラスが数匹バタバタと。ついにいのししが掛かっていた。といっても、小さないのしし。「害獣駆除の目的で行っているので、全部捕獲して、責任を持って食べますよ」と師匠。空気銃でしとめ、山の中で血抜きを行う。
その間、仕掛けづくり。奥のエサの前にひもを横に渡らせ、それにいのししが触れると入り口の檻が閉まる仕組みだ。
仕掛けが終わったら、いのししをトラックに運び、次の箱罠へ。
全部見回りが終わったら、家に戻りいのししの内臓を取り除き、皮を剥いて解体する。血抜きや解体は、人それぞれやり方が異なる。師匠は、どんな大きさでもカッターで皮を剥く。ダニを殺すため毛を焼く人もいるが、焼かない。皮を剥いて、3日ぐらい寝かして脂がしまってから解体する人などもいる。
昨年、1日に最高、15匹捕獲したそうだ。「全部自分で解体するのは大変だから、知人に解体の仕方を教えて、たくさん捕獲した時は取りに来てもらっていた」とのこと。
たまたま、日田から箱罠のやり方を見に3人ほど。血抜きの仕方などもいろいろ情報交換を行うそうだ。この後は、いのしし鍋を囲み、いのしし談義がヒートアップしていく。
そしてお肉は、味噌仕立てのいのしし鍋に。
匂いは全くなく、噛み応えがある。いのししの脂身は、プリプリしていて美味しい。いのししのいいダシが出ていてスープも味わい深い。
師匠の奥様は、いのしし肉で生ハムも作る。いのししの生ハムも唐揚げも塩焼きも美味である。そして、こういう料理と一緒に飲みたくなるのは、日本酒なのである。
師匠に感謝。そして、自然の恵みに心から感謝である。