海賊とよばれた男1

 福岡県宗像市にある赤間宿  その1

「海賊とよばれた男」で知られる出光興産創業者の出光佐三さんの故郷、赤間宿

勝屋酒造のある赤間宿は、福岡県宗像市にある旧唐津街道の宿場町。実際に訪れてみて初めて知ったのだが、赤間宿は、百田尚樹さんの小説で知られる「海賊とよばれた男」の主人公のモデルとなった出光興産創業者の出光佐三さんの故郷。そして、この出光佐三さんこそが、「『神宿る島』宗像・沖ノ島と関連遺産群」を世界遺産に導いたといっても、けして大げさではないということを知った。もちろん多くの人の尽力があったことは言うまでもない。

赤間宿について、出光佐三さんについてもっと知りたい。

そんな思いを胸に、唐津街道赤間宿観光ボランティアガイドさんに赤間宿を案内してもらうことにした。

待ち合わせは、勝屋酒造隣の街道の駅「赤馬館」

ボランティアガイドさんの手配(有料)は、街道の駅「赤馬館」にて。事前に日時やまわりたい場所を相談できるので、今回は、出光佐三さんとゆかりのある場所をお願いした。「赤馬館」には、宗像市内の特産品が並び、幕末の明治時代の偉人の展示室や宗像の情報コーナーなどもある。地元の人たちがグループになり、日替わりでランチやスイーツを提供する喫茶コーナーもあるので、ぜひ赤間宿に来た際には立ち寄りたい。

さて、今日のガイドは、隣町の遠賀生まれで、現在は赤間に住んでいる田中和子さん。ガイド歴は3年とのこと。

それでは、赤間宿街歩きのはじまり、はじまり。

「赤間宿は、東に向かってゆるやかな坂になっています。坂になっているので、火事になったら、燃え広がってしまいます。昔の大きな商家の軒先には、たいていうだつ(屋根に取り付けられる小柱、防火壁、装飾のこと)があるのですが、ここにはありません。赤間宿の人たちは、火事に注意を払っていたので、うだつを必要としないほど、自分たちで気を付けていたのです」。

いろいろと田中さんの話を聞きながら歩いていると、たどり着いたのが出光佐三さんの生家だ。

藍染めの藍問屋を営んでいた出光佐三さんの生家

「ここは、出光さんの生家です。高校に行くときは、門司の方に移られているので、生誕地といったほうがいいかもしれません。出光さん一家が出られた後は、他の人が住まれたり、会社が管理してあったりと、今でも大切に残されています。

出光さんのお父さんは、藍染めの藍の問屋さんでした。蔵なども当時のまま残っているんですよ。

今、後ろに見えていますが、城山という山があります。城山、金山、孔大寺山、湯川山と4つの山が連なっています。昔は、今より建物が少なかったので、2階から窓を開けると、城山がきれいに見えるんですね。『自分が死んでしまったら、城山が見えるところにお墓を立ててくれ、小さな時からいつも見ていたから』ということを生前から言われていたそうです。

東の信号の先にあるのが、出光さんの菩提寺である法然寺です。鎌倉にも菩提寺があります。法事などでこちらに来た時や、宗像大社のお参りの帰りには、この赤間宿の通りを歩いて帰ったそうです。生家の裏に梅の木があるのですが、小さなころ、言うことを聞かなかった時には、お母さんが自分と弟を梅の木に縛りつけたこともあったそうで。そんな話をしながら、懐かしそうに帰られたそうです」。

「出光さんの生家が残っていて大変ありがたいことです。宗像大社に対する信仰と支援はとてつもなく大きく、宗像の地は、出光さんにとって大事な地だったんだと改めて感じます。私たちにとっても出光さんの存在は、大きな大きな財産です」と話していた勝屋酒造の川嶋さんの言葉が頭をよぎった。

城山が見える出光佐三さんのお墓へ

小高い丘の上にある出光佐三さんのお墓へと向かう。

「城山では、自然薯が取れるんです。出光さんは好きでよく食べていらしたようで。大きくなってからも、地元の方が時々掘って送っていたようです。秋になると、自然薯が食べたいと催促されることもあったようです。ある時、お土産として自然薯持って帰りたいと言い出して。立派な自然薯だったので、縄でくるんで竹で支えをして、飛行機の中で自然薯を抱っこしながら持ち帰ったという話も聞くほどです」。

熊越池公園沿いを歩き、出光さんに関しての地元ならではの話を聞きながら、生家から歩いて15分ほどで小高い丘の上にあるお墓にたどり着いた。

「ここから、城山と出光興産のガソリンスタンドが見えますでしょう。この2つが見えるところにお墓を立てるのが、出光さんの条件だったそうです。出光佐三さんの甥のお嫁さんであった推理作家の夏樹静子さんのお墓も一緒にあるんですよ」。

右に見えるのが城山で、左側に小さくだがガソリンスタンドが見える。とても気持ちのいい場所だ。

中には入れないので、遠くから手を合わせた。小さなころから見ていた風景と、自らが興した会社が見える場所にお墓を切望された出光佐三さん。故郷を愛し続けた出光佐三さんは、きっとどこからかこの街を見守り続けているに違いない。

次回へつづく

施設名
街道の駅・赤馬館
住所
福岡県宗像市赤間4丁目1-8
電話
0940-35-4128
URL
http://www.akamakan.info/
営業時間
10時~17時
定休日
月曜