宗像大社

「神宿る島」宗像・沖ノ島と関連遺産群、世界遺産に

7月9日、ついに福岡県宗像市と福津市にまたがる「『神宿る島』宗像・沖ノ島と関連遺産群」が世界遺産に登録された。日本では21件目だ。

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まずは、宗像大社へご参拝

宗像大社は、沖ノ島の沖津宮、大島の中津宮、宗像市の辺津宮の三社の総称のこと。たいていお参りに行くのは、宗像市の辺津宮で、この辺津宮が三宮の総社。辺津宮から11キロ離れた島が中津宮のある筑前大島で、さらにそこから49キロ離れたところに沖津宮のある沖ノ島があり、ほぼ一直線に並んでいる。

祀られているのは、伊勢神宮・天照大神の御子神として誕生した三柱の女神。長女の田心姫神(たごりひめのかみ)は沖ノ島の沖津宮に、次女の湍津姫神(たぎつひめのかみ)は筑前大島の中津宮、 末女の市杵島姫神(いちきしまひめのかみ)は宗像市の辺津宮に祀られている。

宗像大社は、またの名を「道主貴(みちぬしのむち)」といい、「日本書紀」によると宗像三女神が「道主貴(みちぬしのむち)」、すなわち国民のあらゆる道をお導きになる最も尊い神として崇敬を受けたことが記されているそうだ。この「貴」は、最も高貴な神様に贈られる総称で、伊勢神宮・天照大神の大日靈貴(おおひるめのむち)、出雲大社・大国主命の大己貴(おおなむち)の3カ所だけ。

宗像大社といったら、交通安全の神様としても知られ、私も何度かお守りを買いに来たことがある。交通安全のお守りは昭和38年(1963年)に作られ、宗像大社が発祥だそう。

宗像三女神の降臨の地と伝えられる高宮祭場

本殿でお参りした後は、鎮守の森へと進む。

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木々に囲まれた小道を進み、さらに階段を上り小高い丘を目指し進むと、高宮祭場へたどり着く。宗像大社は何度か訪れたことがあるが、高宮祭場まで行くのは今回がはじめて。高宮祭場は、宗像三女神の降臨の地と伝えられ、沖ノ島で行われた祭祀の姿を色濃く残し、我が国の祈りの原形を今に伝える全国でも数少ない古代祭場だ。

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たどり着いた瞬間、木々が風に揺られざわめきはじめた。今まで感じたことのないような静謐な空気感。幸い誰も訪れることなく、しばらくの間、ただ一人この神聖な場に佇んでいた。毎月1日と15日には月次祭(つきなみさい)が行われ、雅楽の演奏や舞などが披露されるのとのこと。きっと幻想的な空間になるに違いない。

高宮祭場からの帰り道、沖津宮を勧請した第二宮、中津宮を勧請した第三宮へ。大島や沖ノ島へはなかなか行けないので、こちらでお参りを。

最後は、沖ノ島からの出土品をはじめ国宝8万点を収蔵する神宝館へ

第二宮、第三宮から本殿に戻り、本殿後方にあるのが、神宝館。かなり大きな建物だ。

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沖ノ島からの出土品をはじめ、宗像大社に伝わる御神宝など、展示数はなんと8万点。しかも、そのほとんどが国宝に指定されているというから、驚きだ。それらの出土品は国家の繁栄と海上交通の安全を祈るために、神様にお供えされたものとされている。「海の正倉院」が沖ノ島の別名だ。

じっくりと神宝を眺め、さらにその歴史や文化に触れていると、なぜこの地にそんな島が存在するのか。この島は何を意味しているのか。とてつもなく大きなメッセージが隠されているように思えてならない。

いったい、今の私たちにそれを読み解くことができるのだろうか。

それにしても、これだけの宝が発見された沖ノ島とは、どういう島なのか

沖ノ島は古代から神体島とされ、4世紀末から約600年間にわたり、国家規模の祭祀が行われていた。

女人禁制で、男性でさえも年に一度の祭りの時しか入れない。見たり聞いたりしたことを一切口外してはならない。一木一草一石たりとも持ち出してはならないという、島独自の掟がかつてあったそうだ。

現在でも、神職は交代で365日祈りを捧げる。

それらの祭祀を行っていたのが、宗像海人族と呼ばれる漁民を支配していた一族だ。宗像地域には多くの古墳が残されているのだが、宗像市の隣である福津市にある新原・奴山古墳群には41もの古墳が点在し、沖ノ島の祭祀場から出土したものと同じぐらい貴重なものが発見されている。

帰り際、駐車場前の祈願殿に立ち寄った。

そこにあったのが、藤原新也著、沖ノ島 神坐す「海の正倉院」(小学館発行)

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すぐさま手に取った。藤原新也といえば、10代の終わり、メメント・モリ(情報センター出版局発行)を読み、ガツンと頭を殴られたような衝撃を受けたのを今でも覚えている。

今度は、この本を通じて、謎多き沖ノ島を垣間見るとしよう。

10月1日(日)、沖ノ島の田心姫神、大島の湍津姫神、宗像の市杵島姫神が一堂に会するみあれ祭が開催される。数多くの漁船が玄界灘を走り抜ける姿は圧巻なので、また訪れたい。

さて、忘れてはならない、お酒の話。「沖ノ島」という酒を発見した

この酒を造る勝屋酒造は、宗像大社のご神酒を造っているという。早速、勝屋酒造のある赤間宿へ向かった。ここでも驚きの出会いが待ちわびていた。

次回へと続く

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