お酒の神様、松尾様

酒造家が尊崇するお酒の神様、京都の松尾大社へ

お酒の神様として知られ、全国の酒造関係者、特に酒造家、味噌・醤油・酢などの製造及び販売業者から尊崇されているのが、京都市西京区嵐山宮町にある「松尾大社」だ。先日、取材に行った福岡県嘉麻市にある「寒北斗酒造」の神棚にも「松尾大社」のお札があり、知り合いの蔵元にも、神棚用にとお札を頼まれた。毎年、「松尾大社」を訪れてから、酒の仕込みをはじめる蔵元も多いそうだ。

「松尾大社」は嵐山の手前にあり、京都駅から電車で行くといくつか乗り継ぎがあるのだが、バスだと1本、40分ほどで到着する。バスを降りてすぐ、朱色の大鳥居の横には、お酒の神様を象徴するかのように、大きなお神酒徳利が2本あった。

鳥居をくぐったところには、「日本第一酒造之神」とある。

5世紀ごろ、朝鮮から渡来した秦氏が、松尾の神を氏神の総氏神と仰ぎ社殿を造営。その秦一族の特技が酒造だった

「松尾大社」は、京都最古の神社。むかしむかし、この地方一帯に住んでいた人々が、松尾山の神霊を祀って、生活守護神としたのが起源だとか。御祭神は、大山咋神(オオヤマクイノカミ)。山麓一帯を支配される神であり、近江国の比叡山と松尾山の神であったと伝えられているそうだ。

「日本第一酒造之神」といわれるようになったのは、5世紀ごろ、朝鮮から渡来した秦氏が農産林業を興し、松尾の神を氏神の総氏神と仰ぎ、大宝元年(701)に社殿を造営。酒造は秦一族の特技とされ、それを示すかのように、秦氏には「酒」の字が付いた人が多かったそうだ。その後、室町時代末期以降、松尾大社が「日本第一酒造神」と仰がれるようになったのだとか。ここ京都の「松尾大社」を総本山とし、全国に20以上の松尾神社があるそうだ。

境内は広い。社殿背後の松尾山を含む約12万坪ある。この日は、結婚式が行われていた。

神輿庫には、酒造家から奉献された多くの数が。数が多くて入りきらないとのこと。

社殿の奥にある「上古の庭」、「曲水の庭」などの庭園も散策できる。

社務所の裏には「霊亀の滝」があり、「亀の井」という霊泉がある。

この亀の井の「霊泉」を持ち帰り、毎年はじめての仕込みの時に加えて造る蔵元も

お酒の神様ということで「松尾大社」では、毎年、新米ができ酒の仕込みがはじまる11月、醸造を祈願する「上卯祭(じょううさい)」が開催される。そして、春、仕込み(最近、1年中仕込みができる蔵も増えてきたが)が終わりつつある4月には、醸造完了を感謝する「中酉祭(ちゅうゆうさい)」行われるそうだ。

その際、この亀の井の「霊泉」を持ち帰り、毎年はじめての仕込みの時に加えて造る蔵元もあるそうだ。「亀の井」の霊泉は、延命長寿、よみがえりの水としても有名とのことで、早速、このありがたい霊泉をいただいてきた。「珈琲を淹れても美味しい」とのことだった。

「松尾大社」では、亀と鯉は神のお使いとされている。亀は不老長寿、鯉は出世開運の御守護だそうで、せっかくなので、亀と鯉も撫でてきた。酒造用具や酒器が展示されている「お酒の資料館」にも、立ち寄った。

京都駅からはやや距離があるのだが、「松尾大社」はとても気持ちのいい場所であった。お酒の神様としてだけではなく、開拓、治水、土木、建築、商業、文化、寿命、交通、安産守護神として仰がれている。また、京都を訪れる際には立ち寄りたい。お酒に関わるお守りなどもあり、今回は、酒業繁栄札をいただいてきた。

奥深き日本酒の世界へ。