旦過市場 ぬか炊き

小倉名物「ぬか炊き」を買いに、北九州市民の台所である旦過(たんが)市場へ

北九州小倉北区にある「旦過市場」には、海産物、野菜、肉、惣菜、果物、乾物、和菓子、飲食店など120軒ほどの小さな店舗がぎゅっと連なっている。道幅が狭いため、両脇の店舗を物色しながら、歩くことができるこの規模がちょうどいい。「旦過(たんが)」の由来は、2つあり、1つは、禅宗の旅の僧である雲水の宿泊所を「旦過寮」と呼んだことから名がついたという説と、もう1つは雲水の早朝の旅立ちを、旦(あした、朝早く)に旅立つことから「旦過」と呼んだという説があるそうだ。「旦過市場」は、大正時代、神獄川をのぼる船が荷物をあげ商売をはじめ、近隣に住宅街が多くあったことから、近郊や田川方面からも荷物が寄るようになり、自然と市場的な機能を持ち賑わいを見せるようになったそうだ。以前はヤミ市的な建物だったが、昭和30年前後から、現在の店舗を構えた現在の市場の姿へと変わった。

お店の人との距離感が近いのも市場の魅力だ。

焼き立ての厚焼き玉子やめいいっぱい卵が入った卵サンドが食欲をそそる卵専門店。

素朴な手作り和菓子もある。ついついいろんなものを買ってしまう。

旦過市場といったら、「カナッペ」が有名。魚のすり身に玉ねぎやニンジンなどを入れて、薄いパンを巻いて揚げたもの。

外はややカリッとしているが、思ったよりもパンの食感というか味は感じられない。中はふわふわでやさしい味わい。これは、いくらでも食べられる。

小倉名物「ぬか炊き」。ぬか床を入れていわしやさばを骨まで軟らかく煮込む郷土料理。

ぬか炊きは、江戸時代の小倉藩主 小笠原公に献上するために作られ、今も小倉の郷土料理として受け継がれている。「たちばな」のぬか炊きは、山椒、とうがらし、こんぶ、塩、ぬか床など厳選素材を用いる。ぬかは、無農薬で育てられた米ぬかを使用。そのままのぬかを使うのではなく、いったんにんじんや大根などの野菜を漬けたぬか床を用いるため、いろいろな旨味成分を含んでいる。また、ぬか床で炊くことで、保存性を高め、骨まで軟らかく煮ることができるそうだ。酵素や植物性乳酸菌を多く含み栄養的に優れていると見直されつつあるぬか漬け。そのぬか床とともに、いわしやさばを骨ごと食べるのだから、栄養満点でもあることは言うまでもない。

ぬかは、玄米を白米にする時に出る、胚芽と種皮が混ざった薄茶色いの粉。そもそもその粉を使って、ぬか漬けやぬか炊きを考えた先人たちの知恵には驚かされる。

ぬか炊きは、ご飯にもお酒にも合う。こってりとしつつ、とうがらしや山椒で味が引き締まっている。骨ごと食べられるのがいい。

地域の食を知るには、近くの市場に立ち寄るのがおもしろい。そして、その地域のお酒とともにいただきたい。

 

RSS
Facebook
Twitter
Google+
http://ginjoka.com/sake-you/tangaichiba">
Social media & sharing icons powered by UltimatelySocial