山口酒造場でキルト

久留米の酒「庭のうぐいす」の蔵でキルト展示

先代蔵元夫人のキルト作家、山口怜子さんの作品

福岡県久留米市の北野天満宮から歩くこと約3分。参道にある「庭のうぐいす」で知られる山口酒造場に到着した。蔵に入ってみると、うぐいすならぬ、つばめがビュンビュンと飛び交っていた。天井を見てみるといくつかの巣があり、まさに子育ての真っ最中。ツバメが巣をつくると縁起がいいと聞いたことがあるので、きっと繁盛しているんだろうと勝手な想像をしてしまう。

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山口酒造場は、1832年(天保3年)に創業。何でも、初代が古物・古美術商としてこの地に移り住み、酒造りをはじめたのは5代目から。現当主は、11代目とのこと。「庭のうぐいす」という銘柄は、酒造りをはじめた5代目が名づけ、今もなお受け継がれている。蔵の歴史や酒の話については、また改めて話を聞きに訪れたいと思う。

筑後の土蔵、6月18日(日)まで開催中

嬉しいことに、年に1度行われるという第31回「筑後の土蔵」の開催中であった。なんとも幸運である。先代の10代目女将で、有名キルト作家である山口怜子さんの日本キルトの展示会と、庭のうぐいすの試飲・販売が行われていた。「筑後の土蔵」は、18日(日)まで。開催時間は10時~17時。

山口怜子さんは、全国的に名が知られるキルト作家だ。1966年に古着を使った布の継ぎ接ぎを始め、1970年には尺貫法を使った日本キルトのパターン開発を行った。1982年、ナショナルキルト連盟(レディバグ主催)に招待され、9作品を受賞。うち3点は最高賞であるブルーリボン賞を受賞。ワシントンDCで公開され、各国大使から作品の招待を受けるようになった。現在、パッチワークキルト塾を開催している。自分が好きな生地を持ち込み、それをもとに山口さんがデザインをしてくださり、各自作品を作っていくとのこと。

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展示場に入って左端には自動圧搾ろ過機がそのまま置いてあり、通常置いてあるであろう大きなタンクは外に出され、蔵がそのまま会場になっていた。

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各作品には、山口さんのコメント入り。写真左の作品名は、「自由への疾走 長い人生を過ごしていくと大きな壁に何度もぶち当たりますがそれは小さい小さい事です。大海原で航海する船も同じことです。すべて角度を変えてみれば自分の疾走かな?」。写真右の作品名は、「大星雲の恋人たち 地球のような星が、2億個もあるような宇宙です。その中で、人間の大きな営みを表現してみました。愛の大切さ、尊さ、そして美しさも、無限の宇宙と同じ位だと思いました」。ひと針ひと針手作業で時間をかけて作られた作品、そして、そのコメントから、山口さんの世界観がひしひしと伝わってくる。

普段は酒造りの道具置き場だという蔵の2階も展示場に。

作品もさることながら、立派な梁がむき出しになったこの空間に圧倒された。

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離れの展示場のみ、入館料が500円。山口さんは、温泉の地熱を利用した「地熱食べもの研究所」で食品の開発も行っているとのことで、温泉地熱で加工した野菜入りの「お野菜たっぷり森もパンケーキMIX」を入場特典としていただいた。こちらの展示場も見ごたえあり。

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さて、作品を見終わり、酒の試飲といきたいところだが、車のため断念。ということで、雑穀甘酒をいただいた。黒米、赤米、丸麦、アワ、キビ、ヒエが原料で、つぶつぶが残るやさしい味わいだった。

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山口怜子さんのお父さんは、「大山の父」と呼ばれる人。

この記事を書いている時に、山口怜子さんのお父さんは、故・八幡治美さんだと判明した。八幡治美さんは、大分や福岡にあるバイキングレストラン「木の花ガルデン」や「梅クリ植えてハワイへ行こう」で知られる大分大山町農業協同組合の組合長を33年勤め(村長と兼ねては16年)、町全体で農家がきちんと潤う仕組みを作った。「大山の父」と呼ばれる人だ。今もなお、八幡さんの精神は大山町に根付いている。それにしても、つくづく、酒造りは、農業やその土地の風土と、密接な関係があると思う。そこを紐解いていきたい。

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さて、次は、山口酒造場からも見える、目と鼻の先にある千年乃松酒蔵へ。次はどんな出会いが待ち受けているのか、ワクワクしながら向かった。

施設名
山口酒造場
住所
福岡県久留米市北野町今山534番地1
電話
0942-78-2008
URL
http://niwanouguisu.com/
営業時間
8時半~17時半
定休日
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