純米大吟醸「神力」

「神力」が売れている!

うわさは本当か? 蔵元に聞いた

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福岡県みやま市高田町の玉水酒造で造られている「神力(しんりき)」が売れていると耳にした。この世に復活させた「神力」という米を原料にした純米大吟醸酒は、基本的に旧高田町近郊しか出回っていない。だから、全国的にはそうとうな日本酒マニアでない限り、存在はほとんど知られていないはずなのにーー。

 

友添本店ではお客が「神力」を指名買い

宮崎から50本の注文も

福岡の70蔵の地酒がすべてそろう福岡市中央区春吉の酒店「友添本店」で最近、「神力」を指名買いした客がいたという。もしかして、博多日本酒吟醸香で玉水酒造を紹介した文章を読んでくれたからではないか? そんな妄想を膨らませつつ、蔵の山下茂さんに電話してみた。

「確かに玉水酒造の記事が紹介された後、神力の問い合わせが増えているんですよ。この前も、宮崎から50本のまとまった注文がありましてね」と山下さんは答えてくれた。

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一升瓶換算で年間わずか1000本

神力は一升瓶換算で年間1000本しか製造されない希少な日本酒だ。例年以上のハイペースで在庫が消えていっているらしい。

米を50%まで磨き、日本酒の種類で言うと「純米大吟醸」に当たる「神力」。ただ大吟醸特有のフルーツ香が山田錦ほど華やかでないから、という理由で「純米大吟醸」を前面に掲げていないそうだ。飲んでみると、フルーティーさは感じる。それ以上に、味わいが深い。米特有の甘みが伝わってくる。普通、大吟醸酒と言ったら、香りが強すぎて、ご飯のお伴という感じはしないのだが、神力は食中酒として楽しめる。

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昔作られていた米「神力」復活秘話

山下さんによると、神力というお米は昔、西日本一帯で作られていた。表面が固くて水を吸い込みにくいため、酒造りには向いていない米だという。あえて使用しようと思ったのは、漫画「夏子の酒」がきっかけだった。

幻の酒米を復活させ、日本酒造りに奮闘する女性の姿を描いた「夏子の酒」は、女優和久井映見さんの主演でドラマ化もされた。山下さんも「自分も幻の米を復活させて、日本酒をつくってみよう」と思い、地元の酒屋と組み、佐賀の農業試験場に残っていた「神力」を譲り受けた。地元の農家に頼んで栽培を始めたのは、20年以上も前の話である。

控えめなフルーツ香ながら、米のうま味が凝縮された、味わい深い純米大吟醸酒。ファンができて、ほそぼそとつくり続けてこられた。

在庫がなくなるかも!

一升瓶換算で年間1000本しかないから、在庫はなくなってしまうのではないか?

「このままだと、なくなりますね」。電話口から山下さんの嬉しい悲鳴が聞こえてきた。

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