福岡で地酒文化をつくろうと、33年前から酒屋とともに挑戦し続ける。寒北斗酒造その3
米を蒸す作業は、2月いっぱいまで。今度は、蒸米で添仕込みを行う。3段仕込みの1番目が添え仕込み
蒸した米をバケツリレー方式で、タンクに入れていく。階段を上ると、柱一つない、つり天井構造の仕込み場。柱がなく、梁に吊るされている。上の天井はテラス構造。木造のテラス構造で、現役で使われているのは非常に珍しい、国無形文化財。
小走りで、タンクへと入れていく。
まだサラサラだが、何日か経つと、発酵が進んでいく。温度管理は重要なので、毎日チェックを行う。
また、神棚前では、別の工程の仕込みが行われていた。小さいタンクから、徐々に大きなタンクへと。
「寒北斗」が生まれて33年。30年を区切りに、新しい取り組みもはじまった。
守ることも大切だが、守るだけでは変わらない。攻めることもやらせてほしい。それが、若手蔵人がメインで取り組む「30 VISION (さんまるビジョン)」
「『寒北斗』ができてから、もう30年。今では、2代目3代目が跡を継ぎ、酒屋を続けている。うちも、見ての通り若手が増えてきました。若い酒屋さんとうちの若手が、『寒北斗』と同じようにタッグを組んでやっているのが、新しい銘柄『30 VISION (さんまるビジョン)』です。
(こちらの「黄金比率 30VISION」は、酒米としては最古の品種として知られ、山田錦や五百万石のルーツとなっている「雄町」と「山田錦」と福岡県の酒米「夢一献」を併せ持つ「壽限無」を黄金比率に基づく特別調合で仕上げた。2017年12月ごろ販売)
これも『寒北斗』というしっかりした土台があってできること。なんで、『寒北斗』で挑戦しなかったかというと、僕たちは恐れ多くて、この『寒北斗』を変えることができない。しかし、今の時代、『寒北斗』をしっかり守りつつ、新しいことを生み出していかなければなりません。
僕は社長になって、3年目。先代には後継者がいらっしゃらなくて、先代とは血縁関係がありません。社長になってすぐ、『寒北斗』30周年で僕が取扱店さんにいったことは、『あと30年迎えたら、寒北斗も還暦になります。その時も美味しいといって飲み続けていただけるようなお酒でありたい」と。
守ることも大切ですけど、守るだけでは変わらない。ただ、攻めることもやらせてくれということで、応援するという酒屋さんがいてくださって、『30 VISION』をはじめました。『30 VISION』は、未来へのチャレンジです」。
「寒北斗酒造」のすぐ近くにある「北斗宮」。ここから、「寒北斗」の名が付いた。
何だがとてもすがすがしい気持ちで「寒北斗酒造」を後にした。家に戻り、早速夜に「寒北斗辛口純米酒 shi-bi-en(シビエン)冬・無濾過生原酒」をいただいた。
キリッと冴えた身が引き締まるような辛口で、蔵元の底知れぬ強さというか気概を感じた。蔵元の想いは、酒に宿る。そんな気がしてならない。
寒北斗酒造 その1はこちら。
寒北斗酒造 その2はこちら。
- 施設名
- 寒北斗酒造
- 住所
- 福岡県嘉麻市大隈町1036−1
- 電話
- 0948-57-0009
- URL
- http://kanhokuto.com/
- 営業時間
- 9時~17時
- 定休日
- 1月1~3日