勝屋酒造 その1

宗像大社のご神酒を造り続ける勝屋酒造

宗像大社のご神酒を造り続けている酒蔵があると聞き、福岡県宗像市赤間にある勝屋酒造へ向かった。宗像大社から車で約20分。福岡教育大近く、勝屋酒造のある赤間宿に到着した。

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赤間宿は、江戸時代の筑前福岡藩内に27カ所あった宿場町のひとつで、北は芦屋へ、東は長崎街道の木屋瀬宿に通じる分岐点の宿。南北約600メートルの通りで、ちょうど真ん中あたりにあるのが、勝屋酒造だ。宗像大社のご神酒である「楢の露」や「沖ノ島」をはじめ、「赤間宿」などの銘柄がある。

赤間宿に移った決め手は、城山の伏流水。やや硬水でミネラル分が多い

赤間宿の中でも、一際目立つ、存在感のある建物。一番古いところは江戸時代のもので、その後、明治、昭和に増築しているという。

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「創業は、寛政2年、1790年になります。その前から酒造りをしていたようなのですが、創業年となっている1790年に酒造免許がないと酒を製造できないということになり、創業の年にしたのではというのが、あくまでも私の想像です」と話すのは、社長の川嶋郁子さん。酒蔵の娘として生まれ一度は外に出たものの、家業継ぐため守るため13、4年前に戻り、川嶋さん曰く「社長というか雑用係」になったそうだ。

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「昔は、赤間宿ではなく、ここからもう少し離れたところで造っていました。明治6年に筑前竹槍一揆で、酒蔵が壊されたようです。その後、休業するなどいろいろあったようですが、この赤間宿に酒蔵を構えたのが、明治の中頃だと聞いています。

ここに移った決め手は、城山の伏流水です。近くに釣川があるのですが、釣川を挟んでこちらと向こう側では水の質が全然違います。ここのお水はやや硬水で、ミネラル分が多いのです。うちのお酒は、この水があるからこそできているのです」。

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昭和30年ごろまで、あたり一帯の中心的存在だった赤間宿。中でも、勝屋酒造は今も昔と変わらぬ佇まい

「今でこそ、車の通りは多いもののお店が少なくなっているのですが、私が小さいころは、赤間宿にはいろんな店がありました。ここに来ると、嫁入り道具が全部揃うぐらい、家具屋さん、洋服屋さんなどいろいろなお店があったものです。それこそ、このあたり一帯の中心地的な存在で、昭和30年ぐらいまでは賑やかでしたね。

しかし、その後、古い家は住みにくいので、パタパタと古い家が無くなってしまって。私どもは小さい蔵なのですが、建物を国の登録有形文化財にという話が10年ぐらい前にありました。『うちはとんでもない。できません』とずっとお断りしていたのですが、2,3年前に『赤間宿にあって、昔ながらの酒造りという商売をしているところに価値がある』とおっしゃっていただいて。うちの建物をこれからも大切に保存していかなければという気持ちもあり、2年ほど前に母屋と煙突を国の登録有形文化財にしていただいたのです。

調査に来られた方が『昔は、町自体が歴史の指定になってもいいほどの街並みでした』と言っていたのを記憶しています」。

隣に街道の駅赤馬館ができ、赤間宿の観光の拠点に

どこの町にも歴史があり、その町の価値を新たに見出す人がいる。

「隣に宗像市東部観光拠点施設・街道の駅赤馬館が完成し、観光の拠点ができつつあります。今まで『赤間宿に来ても何もない』と言われることがあったのですが、赤間宿の魅力発信してくれるので、ありがたいことです。さらに、この街並みをこれからどうしていくかという話し合いはいろいろとしているところです」と川嶋さん。

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街道の駅赤馬館では、地元有志によるボランティアガイドの予約ができ、時間やまわりたい場所などを相談したうえで、赤間宿をガイドしてもらうことができる。希望があれば、勝屋酒造も案内してくれ、仕込みの時期でなければ、蔵を見学することもできる。街を歩きながら、地元の人ならではの話など聞くと、より一層その街に親しみが生まれるものだ。

この街でずっと生き続けている酒蔵でありたい

「この街に存在し酒造りを続けているので、地域の方々に自分たちの酒蔵だと思っていただける蔵でありたいですね。蔵開きは、今から30、40年前にはじめたのですが、それが地域のお祭りになりつつあります。そういった意味で、この街のお役に立ちたい。この街でずっと生き続けている酒蔵でありたいと思っています」。

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釜のある所から麹室まで50メートルある。今も蒸米担いでダッシュするそうだ。

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あみだ車。冬の道具と夏の道具の入れ替えに今でも活用されている。1階にある道具をこのあみだ車を使って2階に引き上げる。

その2へつづく

施設名
勝屋酒造
住所
福岡県宗像市赤間4丁目1-10
電話
0940-32-3010
URL
http://www.katsuyashuzo.com/
営業時間
9時~17時
定休日
不定休
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