喜多屋、繁桝の故郷

喜多屋、繁桝で知られる高橋商店が生まれた福岡県八女は、全国有数の高級茶・八女茶で知られる茶どころ。肥沃な土壌と豊富な伏流水に恵まれた土地

喜多屋と繁桝で知られる高橋商店は、福岡県八女市本町にある。2つの酒蔵は、歩いて行き来できるぐらいの距離感で、八女福島と呼ばれる風情ある白壁の街並みの中にある。八女福島一帯は、もともと城下町で、久留米藩の在郷町として栄えていた。今もその面影が残っているのだが、町を歩いていると、江戸時代から続く仏壇、提灯、お茶屋などがあり、昔ながらのその佇まいや町並みに、ひととき心落ちつく。白壁の街並みの様子はこちら

その白壁の町並みから車を走らせること15分ほど。ちらほらと茶畑が目に付く。水がいいところに酒蔵が栄えるとよく耳にするが、喜多屋と高橋商店があるここ福岡県八女市は、全国有数の高級茶として知られる八女茶の茶どころでもある。日本茶の最高峰である玉露も質の高さを誇る。八女の肥沃な大地と豊富な伏流水、そして豊富な雨量、昼夜の温度差、そして、なにより茶を大切に育てる人々がいてこそ、上質な八女茶を生み出してくれる。

一番茶摘みは4月下旬から5月中旬。二番茶摘みは6月中旬から7月上旬。香り高い新茶を味わいたいもの

はるか一面に広がる茶畑。ここ八女中央大茶園は、県営パイロット事業として作られた茶畑で、広さは約70ha。頂上の展望台から見渡す茶畑は圧巻だ。今まさに、一番茶の茶摘みがそろそろ終わる時期。

八女茶発祥の地とされる「霊巌寺」のある八女市黒木町は大藤が有名で、旭松酒造と後藤酒造場が生まれた地

八女茶発祥の地といわれるのが、八女市黒木町にある「霊巌寺」。八女福島からは車で30分ほど。応永30年(1423年)に、周瑞禅師が建立。禅師が明国から持ち帰った茶の実を植栽し、栽培と製茶の仕方を伝授したのが、八女茶のはじまりだといわれている。黒木町は大藤が有名で、大藤の目と鼻の先には旭松酒造後藤酒造場がある。

「霊巌寺」のすぐ近くに、「お茶の里記念館」がある。

清水館長のご厚意で新茶をいただいた。美味しいお茶でも淹れ方によって味わいが変わる。清水館長が丁寧に新茶を淹れてくださった。まず、急須に茶葉を入れ、20℃ぐらいのお湯をしたたるまで入れて、蒸らすこと約8分。茶葉がじっくりと広がることでうま味が出る。そのまま同じぐらいの温度のお湯を入れてもいいし、温かいものを好まれる場合は、50℃ぐらいのお湯でもいいとのこと。お湯を注いで30秒ほどで湯呑に注ぐ。茶葉の芳しい香り。口に入れると甘みと旨味が口いっぱいに広がった。なかなか同じ茶葉でも家では同じような味わいにならないもの。そういえば、日本酒も温度によって味わい香りが異なる。今後、日本酒を飲む温度にも注目したいものだ。

「新茶も美味しいのですが、熟成させたお茶も美味しいんですよ」と、新茶と熟成させたお茶をブレンドして飲ませてくださった。確かに、甘みが増している。ただ、新茶を購入して家で保存しておくだけでは、うまく熟成されないとのこと。お茶も、これまた奥深い。

すぐ近くの茶園の紅茶は、JR九州のクルーズトレイン「ななつ星」に採用されているとのことだ。

日本酒の蔵元産地探訪。これまた、思わぬところに新たな発見が満ち溢れている。

 

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